1. 暑さ対策を始める時期の目安:平均気温とWBGTで見る月別リスク
    1. 暑さ対策は5月からが基本、梅雨入り前の準備が肝心
    2. 7月から8月はWBGT31以上の「危険」レベルが続く
    3. 9月以降もWBGT28以上の日は続き、秋の油断が危険
  2. なぜ気温だけでは不十分?湿度や輻射熱を反映するWBGTの基礎知識
    1. WBGTは気温・湿度・輻射熱の3要素で暑熱リスクを評価する
    2. WBGT28・31・33・35の4つの基準が行動判断の目安
    3. 家の中や就寝中のWBGT上昇が「住居」を最多発生場所にする要因
  3. 場所別の暑さ対策:屋内と屋外で変わる熱中症リスクと対応策
    1. 住居内は熱中症の最多発生場所、高齢者宅は特に注意
    2. 屋外は日射と路面輻射熱の影響でWBGTが大幅に上昇する
    3. 職場では2025年6月の法改正で対策の義務化が拡大
  4. 熱中症警戒アラートの基準と、危険な暑さの日の過ごし方
    1. 警戒アラートはWBGT33以上、特別警戒アラートは35以上で発表
    2. アラート発表時は外出見直しとクーリングシェルターの活用を
    3. 熱中症の初期症状を見逃さず、疑わしい場合は迅速に対処
  5. エアコンの正しい使い方と省エネを両立する暑さ対策の進め方
    1. 設定温度28度は「室温の目安」、体調と環境に応じて調整する
    2. 遮熱・整備・補助で効果的に冷やし、省エネにつなげる
    3. 携帯扇風機の事故防止と正しい補助用品の使用法
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: 暑さ対策は具体的に何月から始めるべきですか?
    2. Q: 気温が30度の場合、必ず熱中症の危険があるのでしょうか?
    3. Q: 室内にいるときの熱中症対策で最も重要なことは何ですか?
    4. Q: 熱中症警戒アラートが発表された日は、どのように過ごせばよいですか?
    5. Q: エアコンの設定温度は何度にすればよいですか?

暑さ対策を始める時期の目安:平均気温とWBGTで見る月別リスク

暑さ対策は5月からが基本、梅雨入り前の準備が肝心

本格的な暑さが到来する前、5月から暑さ対策を始めるのが適切です。環境省が提供するWBGT(暑さ指数)の情報提供は、2026年度は4月22日から開始予定で、この時期からすでに熱中症リスクが高まり始めることを示しています。5月は日によって気温が25度を超える夏日が増え、身体がまだ暑さに慣れていない「暑熱順化」が進んでいない時期のため、思わぬ熱中症が発生しやすくなります。特に、急に気温が上がった日は要注意です。この時期にエアコンの試運転やフィルター清掃を済ませ、窓の日射対策も確認しておくと、真夏を安全に過ごせます。

(出典:環境省熱中症予防情報サイト)

7月から8月はWBGT31以上の「危険」レベルが続く

7月から8月にかけては、多くの地域でWBGT31以上となる「危険」レベルの時間帯が頻発します。WBGT31以上では、原則として運動は中止とされており、屋外での長時間の活動は極めて危険です。気温だけでなく、高湿度や強い日射、路面からの輻射熱が重なることで、人体の熱放散が追いつかず、体温が急激に上昇します。2025年の5月から9月に全国で救急搬送された熱中症患者は100,510人に達し、2008年の調査開始以降最多となりました。夏本番は不要不急の外出を避け、冷房の効いた室内で過ごすことを基本とすべきです。

(出典:消防庁「令和7年5月~9月の熱中症による救急搬送状況」)

9月以降もWBGT28以上の日は続き、秋の油断が危険

9月に入っても暑さ対策は継続する必要があります。WBGT28以上は「厳重警戒」と区分され、熱中症リスクが高い状態が続きます。環境省の情報提供が10月21日まで予定されていることからも、秋口まで警戒が必要だとわかります。残暑が厳しい年は、9月でもWBGT31を超える日があり、運動会や屋外イベントでの事故も報告されています。涼しい日が混ざり始めると、暑さへの注意力が低下しがちですが、WBGTの数値をもとに客観的にリスクを判断し、油断せずに対策を継続することが大切です。

(出典:環境省熱中症予防情報サイト、環境省「暑さ指数(WBGT)について」)

要点:暑さ対策は5月から準備を始め、7~8月の危険レベルに備え、9月以降もWBGT28以上の日は警戒を継続する

なぜ気温だけでは不十分?湿度や輻射熱を反映するWBGTの基礎知識

WBGTは気温・湿度・輻射熱の3要素で暑熱リスクを評価する

WBGT(暑さ指数)は、気温に加えて湿度と輻射熱を組み合わせた指標です。気温だけが高くても湿度が低ければ汗が蒸発しやすく体温調節がしやすい一方、気温がそれほど高くなくても湿度が高いと汗が蒸発せず熱がこもります。また、直射日光や路面、壁からの輻射熱も大きな要因です。WBGTはこれらの要素を統合し、人体と外気の間の熱収支を評価します。同じ気温30度の日でも、カラッと晴れた日とジメジメした曇りの日では、WBGTは大きく異なるため、熱中症対策には気温よりもWBGTの確認が優先されます。

(出典:環境省「暑さ指数(WBGT)について」)

WBGT28・31・33・35の4つの基準が行動判断の目安

熱中症対策では、以下のWBGTの値が重要な基準となります。ただし、これらの数値は個人の体調や活動内容によってリスクが変わるため、数値だけでなく、自身の状態と照らし合わせて総合的に判断することが重要です

WBGT値 区分 行動の目安
28以上 厳重警戒 激しい運動は避け、こまめな休憩と水分補給が必要
31以上 危険 運動は原則中止、高齢者は安静時でも注意
33以上 警戒アラート基準 予報区内のいずれかの地点で予測される場合に発表
35以上 特別警戒アラート基準 都道府県内の全地点で予測される場合等が基準

(出典:環境省「暑さ指数(WBGT)について」、環境省「熱中症特別警戒情報とは」)

家の中や就寝中のWBGT上昇が「住居」を最多発生場所にする要因

WBGTは屋外だけでなく、屋内のリスク評価にも不可欠です。2025年の救急搬送では、住居が最多の発生場所となっており、室内での熱中症が深刻化しています。特に風通しの悪い部屋や、エアコンを使用していない高齢者宅では、室温が上昇するだけでなく、湿度も高まりWBGTが危険レベルに達することがあります。就寝中も無風状態で湿度が上がりやすく、気温がそれほど高くなくても熱中症になるケースがあります。室内の温湿度計でWBGTを確認し、適切な冷房使用と換気を行うことが必要です。

(出典:消防庁「令和7年5月~9月の熱中症による救急搬送状況」)

要点:WBGTは気温・湿度・輻射熱を統合した指標で、28以上で厳重警戒、31以上で危険。屋内でもWBGTは上昇するため注意が必要

場所別の暑さ対策:屋内と屋外で変わる熱中症リスクと対応策

住居内は熱中症の最多発生場所、高齢者宅は特に注意

2025年の熱中症救急搬送で最も多かった発生場所は住居です。室内は日射が直接当たる窓際、キッチンでの調理中、風通しの悪い部屋など、場所によってリスクが異なります。特に高齢者は暑さを感じにくく、のどの渇きにも気づきにくいため、室温が危険な状態でもエアコンをつけずに過ごす傾向があります。周囲の家族やケアマネージャーが室温やWBGTを定期的に確認し、適切なエアコン使用を促すことが重要です。窓からの日射はカーテンやすだれ、外付けシェードで遮り、冷気を効率的に循環させるために扇風機やサーキュレーターを併用します。

(出典:消防庁「令和7年5月~9月の熱中症による救急搬送状況」)

屋外は日射と路面輻射熱の影響でWBGTが大幅に上昇する

屋外では、直射日光に加えて地面や壁からの輻射熱がWBGTを押し上げます。アスファルト舗装された道路やビルの壁面からの放射熱は、気温以上に体に熱を与える要因です。外出時は気温だけでなく、必ずWBGTと熱中症警戒アラートを確認し、危険な時間帯を避けた行動計画を立てます。日傘や帽子で直射日光を防ぎ、風通しの良い服装を選び、日陰のルートを優先します。長時間の外出では冷房のある施設を休憩場所として確保し、自治体が指定するクーリングシェルターの場所と開放日時も事前に確認しておくと安心です。

(出典:環境省熱中症予防情報サイト)

職場では2025年6月の法改正で対策の義務化が拡大

2025年6月に施行された改正労働安全衛生規則により、対象となる暑熱作業では事業者による熱中症対策が義務付けられました。具体的には、WBGT値の把握と報告体制の整備、異常時の対応手順の策定、関係者への周知が含まれます。建設現場や製造業など高温環境での作業が対象で、業種や作業内容によって適用範囲が定められています。2025年の職場での熱中症による死傷者は1,803人に上り、死亡事故も発生しています。職場では、作業前のWBGT測定、計画的な休憩、水分・塩分補給の徹底が求められます。

(出典:厚生労働省「令和7年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況」)

要点:住居内が最多の発生場所で高齢者対策が急務、屋外は輻射熱でWBGT上昇、職場は法改正で対策が義務化

熱中症警戒アラートの基準と、危険な暑さの日の過ごし方

警戒アラートはWBGT33以上、特別警戒アラートは35以上で発表

熱中症警戒アラートは、予報区内のいずれかの地点でWBGT33以上が予測される場合に発表されます。さらに、2024年度から運用が開始された熱中症特別警戒アラートは、都道府県内の全地点でWBGT35以上に達する場合等という、より厳しい基準で発表されます。これらは環境省と気象庁が共同で発表する情報で、テレビや防災無線、スマートフォンの通知などで知ることができます。アラート発表時は、不要不急の外出を控え、エアコンの効いた室内で過ごすことが原則です。屋外での運動やイベントは、中止や延期を検討する必要があります。

(出典:環境省「熱中症特別警戒情報とは」)

アラート発表時は外出見直しとクーリングシェルターの活用を

警戒アラートや特別警戒アラートが発表された日は、外出の予定を変更するか、徹底した対策を取ることが必須です。通勤や通学など避けられない外出では、日傘や帽子の使用、日陰のルート選び、こまめな休憩を徹底します。冷房を利用できない場合は、自治体が指定するクーリングシェルターを利用できます。図書館や公共施設、商業施設などが指定されており、暑さをしのぐ一時的な避難場所として開放されます。ただし、開放日時や利用条件は施設ごとに異なるため、事前に自治体のホームページなどで確認しておく必要があります。

(出典:環境省熱中症予防情報サイト)

熱中症の初期症状を見逃さず、疑わしい場合は迅速に対処

危険な暑さの日は、めまいや立ちくらみ、筋肉のつり(こむら返り)、頭痛、吐き気などの症状が熱中症のサインです。これらの症状が現れたら、ただちに涼しい場所へ移動し、衣服を緩めて体を冷やします。冷たいタオルや氷のうを首やわきの下、太ももの付け根に当てると効果的です。水分を自力で飲める状態であれば、少しずつ水分と塩分を補給します。しかし、意識がはっきりしない場合や、自力で水が飲めない場合、処置しても症状が改善しない場合は、ためらわずに救急車を呼んでください。無理に水を飲ませることは誤嚥の危険があるため避けます。

(出典:環境省「熱中症環境保健マニュアル~総論~」)

要点:アラートはWBGT33以上で発表、特別警戒は35以上。発表時は外出を控え、熱中症の症状があれば迅速に冷却・救急要請を行う

エアコンの正しい使い方と省エネを両立する暑さ対策の進め方

設定温度28度は「室温の目安」、体調と環境に応じて調整する

「冷房の設定温度は28度」という情報は、環境省が室温の目安として示したものであり、エアコンの設定温度を指すものではありません。実際には、建物の断熱性能や日射の強さ、湿度、在室人数などによって適切な設定温度は変わります。体調や年齢を考慮し、無理に28度に設定して我慢するよりも、健康を優先して適切な温度に調整することが大切です。特に高齢者や乳幼児、持病のある人は、体温調節機能が十分でない場合があるため、設定温度にこだわらず、快適に過ごせる室温を保つことを第一に考えます。

(出典:資源エネルギー庁「空調|無理のない省エネ節約」)

遮熱・整備・補助で効果的に冷やし、省エネにつなげる

エアコンの効率を高め省エネを両立するには、以下の3つの対策を組み合わせます。

  1. 遮熱:窓からの日射をカーテンやブラインド、外付けシェードで遮り、室内の熱の侵入を抑えます。すだれやよしずも効果的です。
  2. 整備:シーズン前にエアコンの試運転とフィルター清掃を行い、室外機の吹出口に物を置かないようにします。フィルターの目詰まりは効率を大幅に下げます。
  3. 補助:扇風機やサーキュレーターで冷気を循環させ、室温のムラをなくします。冷気は床にたまりやすいため、上向きに風を送ると効果的です。

省エネは冷房を止めることではなく、これらの工夫で効率よく運転することです。

(出典:資源エネルギー庁「空調|無理のない省エネ節約」)

携帯扇風機の事故防止と正しい補助用品の使用法

扇風機や携帯扇風機は、あくまで冷気循環の補助であり、危険な暑さの中でエアコンの代わりになるものではありません。特に充電式の携帯扇風機は、落下や衝撃を与えた後の使用、高温の車内への放置、バッテリーの膨張や異常発熱が認められる場合は、発火や破裂の危険があるため使用を中止します。冷感タオルや冷却スプレーなどの局所冷却用品も補助的な役割であり、WBGT31以上の環境ではエアコンのある涼しい場所への移動が最優先です。商品の「体感温度○度下がる」といった表示は試験条件が不明な場合が多く、一般的効果として過信しないようにします。

(出典:NITE「真夏の製品事故アラート」)

要点:設定温度28度は室温の目安で固定値ではない。遮熱・整備・補助で効率を上げ、扇風機はエアコンの代用にはならない